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ある日、ピアノ運送業者がハモンドオルガンを運んできました。
業者いわく「珍しい、貴重なオルガンですね」と。
でもこのオルガンはある理由があってバラバラにされる運命でした。
数ヶ月前、とても品のいいご夫婦がご来店されました。
奥様は、私が個人的にイギリスから取り寄せて展示してあったドアノブをいたく気に入られ、那須の別荘の扉につけたいということでご購入下さいました。
今年中にご夫婦で別荘の方に永住されるご計画ということで、引越しのご準備をされているというお話しでした。
お二人でお選びななられた別荘のデッキからは、何とも気持ちのいい緑が広がっています。
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ある日、久しぶりにご主人様がいらっしゃいました。
私に作ってもらいたいものがあるとのご相談でした。
その内容は「仏壇」。
実は奥様が突然お亡くなりになられたとのこと。本当に驚きでした。
奥様が愛用していたオルガンをいわば形見として、その材を使って仏壇を作りたいとのことでした。
できれば、ご主人自らもその創作に携わって、自分もその思い出にしたいとのご相談。
私にとってはかなりプレッシャーのある仕事でした。
でもご主人様の「じざい様で展示している作品を見て、オリジナルに富んだものを作っていただけるに違いない」とのお言葉に勇気を出して引き受けさせていただきました。
勿論、ものの形、デザインというのは人の好みがあって、好き、嫌い、変だ、面白いという批評はつきものです。
でも今回の仕事の目的は「ご主人様と奥様の思いをつなぐこと」これ以外にない訳ですから、他人の好みではなく、お二人の思いをどこまで形にできるかということに専念すればきっと、喜んでいただけるという確信で創作に入りました。
何度もご主人様とお話しをし、構想を練って、紆余曲折もありましたが、約2ケ月をかけて完成まで至りました。
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ご主人と一緒にオルガンの分解に入りました。
置けるスペースが決まっていたので、サイズだけは決まっていましたが、部品が何に、どんなふうに使えるか、まだ見えない状況でしたから、なるべく原型をとどめるような解体をしていきました。
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スペースに納まるように、サイズを決めてテーブルを製作。
横ぶれ防止の貫はオルガンの譜面台を使用。
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天板は檜材。
帯鋸痕を模様にして
使用。
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ご主人様からはイメージイラストを頂き、それを土台に二人でいろいろ検討を続けました。
出来る限り、オルガンの素材を使うことを基本にし、色や高さは、オルガンにセットでついていた、楽譜などを収納できるスペースがついた椅子を基準にしました。
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完成した仏壇です。
ご主人様のご希望で、中央と右に曼荼羅。
左には奥様の写真が入った小さな額を飾ります。
上の横に伸びた板(わずかに下のラインはカーブをとっています。)は、妹様がカバーになる布をお作りになって垂らす為のものです。
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下のボックスの中に入っているのはオルガンの内部部品です。
機能的な美しさがあって、ご主人さまのお気に入りでしたので、
それを記念に収納しています。
これは取り外しと横が開くようになっていますので、記念のこの部品はいつでも別のものと交換できるようにしています。
例えば、奥様の別の遺品とか何でも結構かと思います。
ともかくも、世界にひとつしかない、変わったものをということが基本的ご要望でしたので、時間もかかりましたが、自分としては精一杯やらせてもらいました。
そしてまたご主人様にも各所でお手伝い頂き、思い出話しを含む様々なお話しができたことが何より嬉しいことでした。
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